リビング和歌山12月号

あなたのそのせき、大丈夫?
「コンコン」「ゴホゴホ」は体からのSOSサイン

感染予防にマスクを付ける人が多いこの季節。でも、「風邪は治ったのにせきだけ止まらない」「空ぜきの状態が続いている」という人はいませんか。実は長引くせきの影には、深刻な病気が隠れていることも。日本呼吸器学会専門医の辻本直貴医師に、放っておくと“危険なせき”の見分け方について話を聞きました。


 3週間以上続く長いせきは、「遷延性」 原因疾患を突き止めてしっかり治療を

 長く続くせきが気になっている人はいませんか。これから寒さが本格的になると、「コンコン」「ゴホゴホ」とせきをする人も多くなります。そんなせきの症状について、日本呼吸器学会専門医である辻本直貴医師に聞きました。
 せきは、気道内の異物を体外に排出するための身体の防御反応で、呼吸器に異常が生じた場合に出ます。「器官からの分泌液や、細菌やウィルスなど、体に生じた何らかの異常が原因となって出るせきは、持続期間によって、急性か慢性かで判断します」と、辻本医師は解説します。
 せきが続く期間が3週間未満のものは「急性」で、風邪やインフルエンザなどウィルスの病原体の感染が原因とされます(上記参照)。せきが3週間から8週間続くものは「遷延性」と呼ばれ、感染後の後遺症以外の原因も増えてきます。2カ月以上続く場合は「慢性」と診断されます。「慢性の場合は、ぜんそくやアレルギー、逆流性食道炎、副鼻腔炎、心因性のものなど、原因が多岐にわたります」とのこと(グラフ参照)。
 また、せきにたんがからまない「乾性」、からむ「湿性」であるかも確認。さらに、せきの出る時間帯や季節、生活習慣、既往歴、喫煙歴など、さまざまな要因も照らし合わせ、原因を探ります。
 「遷延性や慢性のせきは非常に多彩なため、治療法も異なります。しかし診断がつきにくく、特効薬がないことも、その特徴に挙げられます」と話す辻本医師。そのため、かかりつけ医で診てもらってもなかなかせきが止まらず、病院を変える〝はしご受診″をする人もいるようです。

 「せきで悩んでいる場合は、呼吸器内科など専門医や専門の検査機器がそろう診療機関で診てもらうといいでしょう。『せきだけだから…』と軽くとらえる人もいますが、重篤な病気が隠れているケースもあるので、早めに相談することをおすすめします」とアドバイスします。
 「せきのチェックリスト」をまとめました。心当たりのある人はまずは確認。チェックの数が多いほど、SOSサインが出ているので、これを機に専門医を訪れてみてはいかがでしょうか。


 子どものせきは症状を観察し医師に相談を

 大人同様、気を付けたいのが子どものせき。「小学校に進むまでの幼児は、自分の症状をうまく伝えることができないので、日ごろから保護者がお子さんの様子を観察しておくことが大切です」。明け方にせきが出やすい、ゼーゼーと喘鳴(ぜんめい)が聞こえる、たんがからみやすいなどの症状に加え、せきの出やすい場所や環境、季節など気になる点をチェックしておくと、医師の診断の助けになります。
 子どもがせきなどで専門医にかかることは可能であるかの問いに、辻本医師は「医療機関によっては、年齢を制限しているところもあるので、確認した上で訪れるといいでしょう」と答えます。
 日常でせきを予防するにはどうすればいいでしょうか。「せきが出やすい人は喉が過敏になっていることもあるため、喉を守る生活を送りましょう」とのこと。風邪やインフルエンザなど感染症によって気道の粘膜に炎症を起こすと、喉に負担をかけるので、病原体が体内に入らないよう、手洗い、うがいは必須。


 手洗い、うがいとせきエチケットで喉を守る

 「手洗い、うがいは丁寧に二度繰り返すなど徹底しましょう。手洗い後にはアルコール消毒をすると完璧です。タオルやハンカチも、毎回変えた方がいいですね。またせきエチケットとして、体調がすぐれない人はマスクを必ずつけましょう。マスクは基本的に使い捨てがおすすめです」

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