リビング和歌山3月号

憎き花粉症とさようなら!
舌下免疫療法で完治を目指す

憎き花粉症とさようなら!
舌下免疫療法で完治を目指す

花粉症に悩む方の治療法として、前々回では「初期療法」について伝えました。初期療法は花粉が飛散する前から始めることで症状を予防し、シーズンを乗り切ります。しかし、花粉が飛び続ける限り、毎年同じ療法を繰り返し受けなければなりません。今回は、「アレルゲン免疫療法」について説明します。


 アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患の原因となる抗原を投与し、少しずつ体に慣れさせて症状を和らげていく治療法です。
 服用期間は3年以上が推奨されています。専門医の治療の下、適した治療法を持続すれば、治療終了後も長期にわたって症状を抑えられ、治癒の可能性も望める治療法として注目されています。臨床試験によると、スギ花粉症では約80%の有効率が認められています。
 治療法には、薬を皮下に注射する「皮下免疫療法」と、薬を舌の下に投与する「舌下(ぜっか)免疫療法」があります。「皮下免疫療法」は医療機関での投与が必要なため、通院回数が多くなり、また注射による痛みが伴います。
 一方、「舌下免疫療法」は、自身で1日1回投与することができ、薬の味は無味。通院は1カ月に1回程度で済み、根気さえあれば続けやすい治療法ではないでしょうか。
 花粉が飛んでいる時期はアレルゲンに対する体の反応性が敏感になるため、花粉飛散が終了する6月ごろから、治療を始めるといいでしょう。原則5歳以上の小児にも投与でき、幼少のころ免疫療法を受けた子は大人になっても花粉症が出にくくなるという結果も報告されています。
 花粉症の症状を和らげるためには、自分の病型や重症度を知り、それに適した治療を持続することが大事です。治療薬も開発され続け、昨年12月には、重症患者向けの治療薬「ゾレア」が日本でも保険適用になりました。アレルギー専門医がいる医療機関で適した治療を受け、花粉症に対抗しましょう。(辻本直貴)

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