例年に比べて全国的に百日ぜきの報告数が増加しています。 2022年は499件、2023年は1009件、2024年には4054件、 2025年は3月時点で、すでに4100件を超えていて昨年を上回るペースです(国立感染症研究所調べ)。 インフルエンザのように爆発的に広がる病気ではありませんが、今後の流行が心配されています。 和歌山県内では今のところ報告数は少ないのの、全国の傾向から今後増加する可能性があるので注意が必要です。
百日ぜきは、〝百日ぜき菌″と呼ばれる細菌に感染することで発症。 特徴的な長引くせきが続くので、この名前が付けられています。 百日ぜき菌は乳幼児向けの3種・4種・5種混合ワクチンに含まれていて、ワクチンの普及で患者数は減少しましたが、 免疫が弱い乳児やワクチンの効果が薄れてくる成人は再感染のリスクがあります。
初期は軽いせきや微熱など風邪に似た症状があり、次第にせきの回数が増加。
2週間以上続くせきや、せきによる息苦しさなどがある場合に、百日ぜきを疑います。
夜間に悪化しやすい傾向があり、数分続く激しいせきや、息を吸い込む時に「ヒュー」という音が出る〝笛声様(てきせいよう)吸気″、
せきの後の嘔吐(おうと)なども見られます。
乳児はせきの症状を伴わないこともあり、無呼吸や顔色不良などが初期症状になることも。
診断はPCR検査や血液検査などを行います。
「せき止めの薬を飲んでも効かない」「風邪薬を飲んで1~2週間たっても良くならない」「周囲で似た症状の人がいる」場合は
百日ぜきの可能性を考慮し、検査をせずに治療を始めることもあります。
治療にはマクロライド系抗菌薬を使用します。
適切な治療を行えば5日ほどで菌の排出は止まりますが、治療しないと約3週間菌が出続けるので早期診断・治療が重要。
特に、大人は軽症の場合もあり、〝長引く風邪″として見過ごされがち。
気付かないうちに、乳児などへ移してしまうことがあります。
予防にはワクチンの定期接種が基本です。
大人向けのワクチンもあるので、子どもと接する機会が多い人は接種の検討を。
「たかが〝せき″」と軽視せずに、2週間以上せきが続く場合は医療機関に相談を。